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ほぼノンフィクション

祭り

夕方から出かけた。歳の離れた従姉妹と手を繋ぎ。まだ可愛らしい時代だった。お兄ちゃん、お兄ちゃん、と呼ぶ度に笑顔。僕はせがまれる侭に食べ遊んだ。陽が沈み踊りが始まる。遊び疲れた彼女をお姫様抱っこ。心地よく眠っていた。蚊帳の中そっと寝かせた。まだ暑い宵の口。久しぶりに彼女と祭り。浴衣に結い上げた髪にドキッとした。未だ大人になり切らぬ、その表情に魅せられた。

今年も祭りが始まる。今年もまた久しぶり。今年は幼子を引いて帰ってくると。あの日の彼女を思い出す。あのままで良かった。僕は浴衣の袂から煙草を取り出した。あの日と変わらない光景。住職と並び眺めた。こらぁ!不意に取り上げられた。

 

振り返って目が合った。あの日の少女の面影を残した、従姉妹が満面の笑みだった。