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ほぼノンフィクション

台風

以前、須磨海岸のすぐ側で仕事をした。裏塀の向こうが砂浜だった。日中にはよく漁師が出入りした。台風が接近していた。陽に焼けた漁師が風を見る。荒れはしないと笑った。予報と少し違う。彼は僕の背中をバンッと叩き明日には晴れるさと。海の家に消えて行…

大嫌い。昔は楽しかった。意味もなくずぶ濡れになった。通学を共にする友人達と。楽しかった、否定はしない。成長と共に楽しみは無くなった。 不意に降り出した夕立。僕は近くのガード下に飛び込んだ。闖入者に動きが止まった。雨音に途切れるラジカセ。手に…

花火

僕は塾の帰りだった。いい香り漂う社会人に囲まれ、ドアから流れる夜景を眺めていた。遠くに1センチ位の赤い花火が上がった。あっ。漏れた声。周りも気づいた。遠く走る車内からも容易に分かった。美しく華やかな刹那。知らぬ間に涙ぐんでいた。 坊主、綺麗…

お座りなさい

睥睨するシルバーヘア。眼鏡越し睨む眼光は野獣。手にはいつもの竹定規。2メートル近くあった。どんだけ長いねん!反則やろ!BBA!顔色変えず定規を消す。定規乱舞。complete combo。紅い筋が剥き出しの腕、腿、脛に。最後は眉間か喉仏。 お座りなさい なん…

祭り

夕方から出かけた。歳の離れた従姉妹と手を繋ぎ。まだ可愛らしい時代だった。お兄ちゃん、お兄ちゃん、と呼ぶ度に笑顔。僕はせがまれる侭に食べ遊んだ。陽が沈み踊りが始まる。遊び疲れた彼女をお姫様抱っこ。心地よく眠っていた。蚊帳の中そっと寝かせた。…